「あれ、どこだっけ?」を撲滅!小規模事業者が最初に導入すべき「三種の神器」デジタルツール連携術

これまで、「業務の仕組み化」の重要性と、その第一歩としての「動画&チェックリストマニュアル作成」についてお伝えしてきました。

マニュアルを作り始めると、次に必ず直面する悩みがあります。それは「情報の散乱」です。

  • 「あの決定事項、チャットで話したっけ? それともメール?」
  • 「最新の見積書データが、どのフォルダにあるか分からない」
  • 「せっかく作った動画マニュアル、どこに保存したか忘れた」

ある調査によると、ビジネスマンは1日の勤務時間のうち、平均して約20%〜30%を「情報を探す時間」に費やしていると言われています。もしあなたが毎日8時間働いているなら、そのうち1時間半以上を「探し物」に使っている計算になります。これは年間で約400時間、つまり丸々2ヶ月分の労働時間に匹敵する、莫大な損失です。

30代〜50代の経営者の皆様、この貴重な時間を、もっと生産的な活動に使いたいと思いませんか?

今回は、高価なシステムを導入せずとも、無料〜安価なデジタルツールを賢く組み合わせることで、この「探す時間」を限りなくゼロにする方法をお伝えします。

目次

なぜ、あなたの会社のIT化は失敗するのか?

「業務効率化のためにITツールを導入しよう!」と意気込んだものの、結局定着せずに元のメールと電話に戻ってしまった……という話は少なくありません。

その最大の原因は、「ストック情報」と「フロー情報」を混同していることにあります。

  • フロー情報: 日々の業務連絡、相談、雑談など、流れて消えていく情報。鮮度が重要。
    • (例:チャットでの会話、口頭での依頼、メールのやり取り)
  • ストック情報: マニュアル、顧客リスト、議事録、ノウハウなど、蓄積して後から参照すべき情報。検索性が重要。
    • (例:業務手順書、決定事項、契約書データ)

多くの失敗例は、「フロー情報」に適したチャットツールで重要な決定事項(ストック情報)を流してしまい後から追えなくなったり、逆に「ストック情報」を管理すべき場所に日々の雑談を書き込んで情報が埋もれてしまったりするケースです。

それぞれの情報に適した「場所」を用意し、それらを連携させることが成功の鍵です。

小規模事業者のための「三種の神器」ツールとは?

では、具体的に何を使えば良いのでしょうか。YLS合同会社が推奨する、小規模事業者に最適な「三種の神器」とも言える組み合わせをご紹介します。

神器1(ストック情報の基地):Notion(ノーション)

Notionは、一言で言えば「会社の脳みそ」です。 ドキュメント作成、データベース管理、タスク管理などが一つになったオールインワンワークスペースです。 社内Wiki(情報共有サイト)として最適で、前回の記事で作成した「業務マニュアル」や「チェックリスト」、会議の「議事録」、共有すべき「顧客情報」などを、全てここに集約します。 「何か知りたいことがあれば、まずNotionを見る」という状態を作ります。

神器2(フロー情報の川):Slack または Chatwork

これは「会社の血液」です。 メールは「お世話になっております」といった定型文が必要で、スピーディーなやり取りには向きません。社内の日々のコミュニケーションは、ビジネスチャットツールに移行しましょう。 重要なのは、「ここで重要な決定をしないこと」です。決定事項が出たら、必ず後述するNotionへストックします。

神器3(ファイル倉庫):Google Workspace(特にGoogleドライブ)

これは「会社の書庫」です。 契約書のPDF、商品画像の元データ、あるいは前回作成した「動画マニュアルのデータ」など、実体のある重いファイルを安全に保管・共有する場所です。クラウド上に置くことで、社外からでもスマホからでもアクセス可能になります。

生産性が劇的に上がる!「三種の神器」連携の具体例

これらのツールは、単体で使うよりも「連携」させることで真価を発揮します。

目指すゴールは、「Notionを見れば、全ての情報にたどり着ける」状態です。

連携例1:チャット(フロー)からNotion(ストック)へ

Slackで新プロジェクトについて議論し、方針が決まったとします。その内容は、Slackの中で流してしまうのではなく、すぐにNotionに作った「プロジェクト管理ページ」や「議事録」に書き写します。 Slackには「方針が決定しました。詳細はNotionのリンクを参照してください」とだけ投稿します。これで、「決定事項が流れて消える」を防げます。

連携例2:Notion(ストック)からGoogleドライブ(倉庫)へ

前回の記事で、Zoomで作業画面を録画した「動画マニュアル」を作成しましたね。その動画データは、Googleドライブの所定のフォルダに保存します。 そして、Notionで作成した「業務マニュアルページ」の中に、そのGoogleドライブの動画リンクを埋め込みます。 こうすることで、スタッフはNotionのマニュアルページを開くだけで、テキストのチェックリストと、動画での解説の両方をワンストップで確認できるようになります。

挫折しないための「スモールスタート」導入法

「便利そうだけど、スタッフ全員に新しいツールを覚えさせるのは大変だ…」と感じるかもしれません。

その通りです。ITツールの導入は、一気にやろうとすると必ず反発が起きます。

成功の鉄則は「スモールスタート」です。

  1. まずは、経営者であるあなた一人、もしくはITに抵抗がない右腕スタッフと二人だけで使い始めてみてください。
  2. 用途を限定します。「まずは毎週のミーティングの議事録だけNotionに残そう」「毎朝の報告だけSlackでやってみよう」といった具合です。
  3. 便利さを実感できてから、徐々に他のスタッフにも広げていきます。

ツールは武器であり、愛である

デジタルツールの導入は、単に「楽をする」ためではありません。

情報を整理し、いつでも誰でも必要な情報にアクセスできるようにすることは、一緒に働くスタッフへの、そして将来の自分自身への「思いやり(愛)」です。

「あれ、どこだっけ?」というストレスから解放されれば、スタッフは安心して本来の業務に集中でき、あなたは経営者としての創造的な仕事に時間を使えるようになります。

YLS合同会社では、お客様の業種や規模に合わせた最適なツールの選定から、導入時の初期設定、社内への定着支援まで、伴走型でサポートを行っております。「何から手を付ければいいか分からない」という方は、ぜひ一度ご相談ください。あなたの会社の生産性を飛躍させる基盤づくりをお手伝いします。

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