2026.10.07生産性

人手不足で仕事が回らない会社の原因とは|中小企業が採用の前に見直す仕事の流れと5つの手順

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人手不足で仕事が回らない会社の原因とは|中小企業が採用の前に見直す仕事の流れと5つの手順

この記事の3つのポイント

  • 「人手不足で仕事が回らない」と感じる会社でも、人数そのものより、確認・判断・手戻り・属人化で時間が失われていることが少なくありません。
  • 採用を考える前に、いまの仕事を「やめる・減らす・任せる・まとめる」の順で見直すと、本当に足りない人数と役割が見えてきます。
  • 見直しは、困りごとの書き出し→時間の内訳の把握→仕事の流れの整理→任せる基準づくり→採用・外注・ITの判断、の5つの手順で進めます。

「求人を出しても応募が来ない」「やっと採用できても、教える時間がなくて戦力になる前に疲れてしまう」「結局、社長と一部のベテランが残って片づけている」。従業員30名以下の会社では、こうした状況が続くと「うちは人手不足だから仕方がない」と考えがちです。

しかし、現場を一緒に見ていくと、人が足りないのではなく、いまいる人の時間が仕事の流れの中で失われているケースが多く見られます。この記事では、人手不足で仕事が回らない会社に共通する原因と、採用の前に自社で確認できる判断基準、見直しの手順を整理します。

人手不足で仕事が回らないとは、どういう状態か

人手不足で仕事が回らない状態とは、受けた仕事の量に対して、処理できる時間と人が継続的に足りず、納期遅れ・残業・ミス・社長の現場対応が常態化している状態である、と整理できます。ポイントは「人数が足りない」ことと「処理できる時間が足りない」ことが、同じではないという点です。

たとえば10人の会社で、1人あたり1日1時間を「探す・聞く・待つ・やり直す」に使っているとします。これは1日10時間、つまり1人分以上の時間が毎日消えている計算になります。この状態で1人採用しても、新しい人も同じ流れの中で同じように時間を失うため、楽になった実感が得られにくくなります。

つまり、人手不足には2種類あります。1つは、仕事量に対して人数が本当に足りない「量の不足」。もう1つは、人数はいるのに仕事の流れの中で時間が漏れている「流れの不足」です。どちらなのかを見分けないまま採用に進むと、費用と教育の負担だけが増えることがあります。

人手不足に見える会社で起きている5つの原因

原因1:確認と承認が社長や特定の人に集まっている

見積、発注、値引き、納期の回答など、小さな判断まで社長の確認が必要になっていると、現場は「返事待ち」で手が止まります。社員は動けるのに動けない時間が積み重なり、外からは人手が足りないように見えます。確認が増える背景は確認作業が多い会社の原因とはでも整理しています。

原因2:手戻りとやり直しが多い

依頼の内容があいまいなまま作業が始まり、でき上がってから「そうではなかった」とやり直す。この手戻りは、1件あたりの作業時間を静かに倍にします。忙しい会社ほど最初の確認を省きがちで、結果としてさらに忙しくなる循環に入ります。

原因3:仕事が人に付いていて、代わりがきかない

「この顧客は〇〇さんしか分からない」「この機械の段取りはベテランだけ」という状態では、その人が休むと仕事が止まり、その人に仕事が集中します。忙しい人と手が空いている人が同時にいるのに、全体としては人手不足に感じる、というのが属人化の典型的な現れ方です。

原因4:二重入力や探し物など、付加価値を生まない作業が多い

紙に書いたものをExcelに入力し、さらに別のシステムにも入れる。必要な図面や過去の見積を探すのに毎回10分かかる。こうした作業は一つひとつは小さくても、全員が毎日行うため、合計すると大きな時間になります。

原因5:やめる仕事を決めていない

過去に必要だった報告書、誰も読んでいない集計、慣習で続いている会議。仕事は増える一方で、減らす判断がされないまま積み上がっていきます。人手不足を感じたときは、増やすことより先に、減らせるものがないかを見る視点が欠かせません。

採用が先か、流れの見直しが先かを判断する基準

では、自社は「量の不足」と「流れの不足」のどちらなのでしょうか。次の5つの問いで、おおよその見当をつけることができます。

  • 忙しい人と、比較的手が空いている人が社内に同時にいるか
  • 社長や特定の人の返事待ちで、作業が止まることが週に何度もあるか
  • やり直しや修正の対応が、週に数時間以上発生しているか
  • 同じ情報を2か所以上に入力している業務があるか
  • 新しく入った人に教える手順が、口頭と経験に頼っているか

3つ以上当てはまる場合は、採用より先に仕事の流れを見直したほうが、効果が出やすいと考えられます。流れが整っていない状態で人を増やすと、教える側の負担が増え、一時的にかえって回らなくなることがあるためです。

一方、当てはまるものが1つ以下で、全員が定時内いっぱい稼働しており、それでも受注を断っている場合は、量の不足である可能性が高くなります。この場合は、採用や外注を具体的に検討する段階です。ただしその場合でも、どの業務を任せる人が必要なのかを先に言葉にしておくと、求人の内容や外注先の選び方が明確になります。

採用の前に見直す5つの手順

手順1:「回っていない場面」を具体的に書き出す

「忙しい」「人が足りない」という言葉のままでは、打ち手が決まりません。まず、直近1か月で困った場面を具体的に書き出します。「月末の請求書発行が3日遅れた」「A社の納期回答に2日かかった」のように、いつ・どの業務で・何が起きたかを10件ほど挙げるだけで、偏りが見えてきます。社長だけでなく、現場の社員2〜3人にも同じ質問をするのがポイントです。経営者と現場では、見えている困りごとが違うことが多いためです。

手順2:1週間だけ、時間の内訳を記録する

次に、主要メンバー数人に1週間だけ、30分単位で何に時間を使ったかを記録してもらいます。細かい分類は不要で、「本来の作業」「確認・返事待ち」「やり直し」「探す・聞く」「会議・連絡」の5つ程度で十分です。本来の作業が全体の半分を下回っている場合、流れの中で時間が漏れていると判断できます。業務全体を洗い出す方法は業務の棚卸しのやり方を参考にしてください。

手順3:仕事の流れを「やめる・減らす・任せる・まとめる」で整理する

書き出した業務を、次の順番で見直します。順番が大切で、やめられる仕事を効率化しても意味がないため、「やめる」から考えます。

  • やめる:目的があいまいな報告、誰も使っていない資料、重複している確認
  • 減らす:頻度を毎日から週1回へ、全件チェックから抜き取りへ
  • 任せる:社長やベテランでなくてもできる判断や作業を、基準を決めて移す
  • まとめる:二重入力をなくす、問い合わせ窓口を一本化する

手順4:任せるための判断基準と手順を、最小限つくる

「任せる」と決めた業務は、判断基準を一枚にまとめます。たとえば「5万円未満の発注は担当者判断、5万円以上は社長確認」「値引きは5%まで営業判断」といった線引きです。完璧なマニュアルを目指すより、迷いやすい場面と判断の目安だけを書くほうが、現場で使われやすくなります。

手順5:それでも足りない部分に、採用・外注・ITを当てはめる

ここまで整理して初めて、「本当に足りないのは、週20時間分の事務処理」「現場監督を補佐できる人が1人」のように、不足の中身が具体的になります。中身が分かれば、正社員の採用なのか、パートや外注で足りるのか、ITツールで置き換えられる作業なのかを選べます。ITツールは入れるだけで解決するものではなく、整理した流れに合わせて選ぶことで、定着しやすくなります。

見直しを進めるときに気をつけたい3つのこと

社長一人で決めて現場に下ろさない

経営者の視点だけで「この仕事はやめる」と決めると、現場では「実はその資料が別の作業の前提になっていた」ということが起こります。逆に現場だけで進めると、部分的な効率化にとどまり、会社全体の優先順位とずれることがあります。経営者と現場の両方から話を聞き、同じ図の上で流れを確認することが、遠回りに見えて近道です。

一度に全部を変えようとしない

人手不足の会社には、改善に使える時間そのものが多くありません。最初は、困りごとが最も集中している業務を1つだけ選び、2〜4週間で小さく変えてみます。1つ成果が出ると、次の改善に社員が協力しやすくなります。

ツールから入らない

「人が足りないからシステムで自動化を」と考えるのは自然な発想です。ただ、流れが整理されていないままツールを入れると、入力の手間が増えて現場に使われなくなることがあります。まず仕事の流れを整え、そのうえで必要な部分だけツールを当てるという順番が、費用面でも負担が小さくなります。

見直しによって変わること(事例として)

弊社がこれまでご支援してきた中小企業の中には、採用を増やさずに仕事の流れを見直したことで、月間で大きな時間が生まれた例があります。たとえば、確認の基準づくりと二重入力の解消を組み合わせ、社長の現場確認にかかる時間が減り、営業や採用活動に時間を回せるようになった会社もあります。

もちろん、業種や体制によって効果の出方は異なり、同じ結果が得られるとは限りません。ただ、「人が足りない」という言葉の中身を分解すると、採用以外にも選択肢があると分かる会社は多い、というのが現場での実感です。手戻りが多いと感じる場合は、手戻りが多い原因とはもあわせてご覧ください。

よくある質問

人手不足なのに、見直しに使う時間がありません。どうすればよいですか?

最初から全社で取り組む必要はありません。困った場面を10件書き出す作業は、30分ほどでできます。そこから最も頻度の高い1業務に絞り、週に1時間だけ見直しの時間を確保するところから始めるのが現実的です。

採用と仕事の流れの見直しは、同時に進めてもよいですか?

同時に進めて問題ありません。むしろ、流れの整理で「どの業務を任せたい人なのか」が明確になると、求人票の内容や面接で確認する点が具体的になります。

ITツールを入れれば、人手不足は解消できますか?

ツールが有効な場面は多くありますが、ツールだけで解消するとは言い切れません。確認や判断が特定の人に集まっている、仕事の手順が人によって違う、といった状態のまま導入しても、使われなくなることがあります。流れを整えてから選ぶほうが、効果が出やすくなります。

まとめ:人を増やす前に、いまの時間の使われ方を確かめる

まずは困った場面を書き出し、時間の内訳を確かめ、「やめる・減らす・任せる・まとめる」の順で流れを整える。そのうえで、足りない部分に採用・外注・ITを当てはめる。この順番で考えると、費用のかけどころが見えやすくなります。

「自社の場合はどこから手をつければよいか分からない」「採用すべきか、流れを見直すべきか迷っている」という場合は、個別相談で現状をお聞かせください。経営者と現場の両方の視点から状況を整理し、次に動く優先順位を一緒に確認するところから始められます。

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